1. 現場のよい実践に基づく

外部から事例を探すのではなく、私たちの職場で共通して行われている現場の実践から出発し、そのシンプルな改善から学ぶようにします。なぜならば、現場の良好実践事例を見出すことで行われる自主的な改善が、参加者の動機付けになるからです。

そのため、“現場のよい実践に基づく”ことは、実際的で現実的なアプローチです。このアプローチは応用可能で、誰に対しても、教科書モデルを学ぶ代わりに、具体的なアクションを起こす力を出すのを支援します。このアプローチにより、私たちは自主的な活動を通じた、ステップバイステップの改善をすすめることが出来ます。

2. 改善成果に焦点をあてる

地元と職場の良好実践事例に焦点を当てることがきわめて大切です。改善した成果をほめて学びこそすれ、失敗や小さな欠点を批判してはなりません。このような方法で、現場で実行可能な対策を学ぶことが出来、労働者と管理者のコミュニケーションが促進されるのです。

現場の状況から生まれた現実的な事例は、外部の専門家によるよくアレンジされた多くの理論よりも、はるかに説得力があります。これらの現場の事例は、改善の利点と、どのように同じような改善を行うかを明快に示します。

3. 労働条件と他の経営目標とを結びつける

大事なことは、労働条件の改善と高い生産性とが緊密に連携しあっている事実です。日々の生産に関連した問題の解決策は、また労働条件の改善の問題でもあります。安全衛生の改善は、生産目標を達成していく上でもっとも早い方法です。

これは多くの技術領域の改善を同時に行う、ということを意味しています。そうした他領域にわたる改善のポジティブな影響を知ることで、各職場の中での協力関係は増し、生産性向上にとっても役立つことが出来るのです。

4. 実行して学ぶ

低コストの改善を提案するグループ討議を繰り返すことにより、参加者は新しい改善をどのように計画するかを学びます。知識伝授型から出発する多くのトレーニングコースでは、このような方法をとることが難しく、従って改善に対する姿勢と実践を前進させることも困難になりがちです。得られた知識とその活用との間のギャップを埋めるために、PAOTワークショップでは、すでにある「3つの良い点」と「3つの改善アクション」を討議する、という簡潔な方法を用います。これによって参加者は、どのようによい事例を見つけ、どのように現場で実践可能な改善を提案するか、を学びます。この方法により、良いトレーニング効果を得ることができるのです。

 私たちが地域や職場を訪問したとき、技術的な援助や専門家によるトレーニング活動を求められることがあります。いくつかのトレーニングコースではそれも必要でしょう。しかしお金や時間をかけずに行う実践型のトレーニングがあることも事実です。お金をかけたトレーニングコースを地域や職場で行うことで幅広い知識を得る代わりに、人々のニーズに適した小さな改善を行うよう人々を励ますのです。シンプルなアイデアによる改善の積み重ねによって、たくさんの改善策が生まれていくことでしょう。

 PAOTワークショップは、アクションチェックリストやグループワークで経験を分かちあい、実行可能な改善アクションプランを作り上げる「実行して学ぶ」アプローチに参加者が親しむよう、手助けをします。

5. 改善成果の交流を進める

成功事例の交流は、他領域に渡る改善アクションを促す上で大切です。経験交流は自助努力で行われる現場改善活動を発展させることが出来ます。

経験交流を強め大事にすることによって、参加型改善活動の仲間同士の友情と協力を強め友好的なチーム作りに貢献するとともに、将来の活動への励みにもなります。「人が行った成功事例が、同じ境遇に置かれている人々の活動をやる気にさせ刺激する」ということは、よく知られていることです。

改善が進んだら成果発表会を行って成功事例を共有することは、改善活動の継続とステップバイステップの改善活動を通じた良い解決策を得るための、すぐれた方法であるといえます。

6. 人々の参加を促進する

PAOTワークショップは、すべてのトレーニングセッションを現場の人々の参加によって行うことで、より成功することができます。参加者もまた、自らの職場に共通するシンプルな改善計画をたて実行するときに、どのように人々を巻き込むかを学びます。