参加型改善トレーニング(Participatory Action-Oriented Training (PAOT))は、開発途上国、先進国を問わず、さまざまな職場環境改善に活用されています。PAOTワークショップで職場の条件にみあった改善のすすめ方を学ぶことにより、たくさんの小企業、建設現場、福祉職場、家内労働、そして農業において、労働関連のリスクを低減できることが多くの国から報告されています。PAOTワークショップでは、参加者がグループ討議を通して、よい事例から学び、実際的な改善を提案していきます。このPAOT方式で、たくさんの地域や職場の人々が、自主的な改善活動を行っています。自主的な改善活動が容易に行えるようにトレーナーは、グループ討議を通じて、現場の状況にあったわかりやすい改善提案を出し合い、すぐに実行することに力点をおいていくようにサポートします。(註1)

-WISE  (Work Improvement in Small Enterprises) 中小企業用のトレーニング;

-WIND (Work Improvement in Neighborhood Development) 農民のためのワークショップ;

-WISH (Work Improvement for Safe Home) 家内労働のワークショップ;

-WISCON(Work Improvement in small construction sites) 建設労働のワークショップ;

-POSITIVE(Participation-oriented safety Improvement by trade union Initiative) アジアの労働組合のためのプログラム;

-WARM (Work Adjustment for recycling and Managing waste) ゴミ収集者のためのプログラム;

-Green program 地域の環境保護のためのプログラム ;

-WINC(Work Improvement for Neighbour Care)介護福祉労働者のためのトレーニング;

 これらすべてのプログラムでは、参加型の短期間トレーニングで、基本的な改善と、地域や職場にあった対策の計画と実行を学びます。これらのプログラム参加者は、多領域の技術分野での低コスト改善策を提案できるようになります。このようにして、人々は同様のトレーニング教材を使いながら、トレーナーとして活動できるようになります。特に現場で実行可能な改善を見いだせるようにデザインされたアクションチェックリストが、これらの目的のためにすべてのプログラムで使われます。この方法をとったことで、PAOTは多くの国に広がることとなったのです。

(註1):PAOTワークショップの主人公は参加者です。トレーナーは「教師」ではなく、参加者の自主的活動の啓発をこころがけ、その活動を「ファシリテート」、トレーナーのことを「ファシリテーター」と呼びます。